2023年4月13日木曜日

2023.5.5 コケ観察会

 すっかり春になりました


毎年恒例の、岡山サイピアでの春のサイピアフェスティバルで
「太陽の丘公園でコケを探そう」を行います
ゴールデンウイーク中ですが、お子様お孫様連れでもお越しくださ

日時:5月5日(金)⓵10:00~ ②11:00~ ③13:00~ ④14:00~
内容:各回とも 6人ほど 40分ぐらい
   双眼実体顕微鏡を使って、コケの見方を学び、
   隣接する「太陽の丘公園」でコケマップにあるコケを探す
補足:参加費無料 整理券配布 小学生以上
   (以下の方は保護者同伴 もちろん大人のみの参加もOK)
お問い合わせ 人と科学の未来館 サイピア
     Tel 086-251-9752 Fax 086-251-9780
     Email info01@sci-pia.pref.okayama.jp

2023年4月1日土曜日

研究紹介

 会員の中島さんの研究を紹介します。

 会員の中島啓光(なかじまひろみつ)と申します。これまで、イワマセンボンゴケやホンモンジゴケなどの金属を蓄積するコケを研究し、複数の論文を発表してきました。ここ数年は、大学1-2年生向けの物理や化学の基礎教育に携わっております。その中で、コケを対象とした学生向けの科学教育プログラムを開発したいと考え、昨年、研究課題名を「コケ植物を対象とした分野横断的科学研究プログラムの開発」とする研究計画調書を作成して、日本学術振興会の科学研究費(基盤研究(C))に応募しておりました。その研究が今年2月に採択されましたので、ここにその概要をご紹介させていただきます。

 本研究の概要につきましては、研究計画調書に書いたものをここに再掲いたします。

近年のSTEAM教育では、学習者が主体となり、学びの場を教室に限定せず、五感を働かせて、複数の教科を関連付けながら学習するといった教育プログラムが期待されている。そのような教育プログラムには、コケ植物を対象とした分野横断的な研究についての応募者自身の経験から、コケ植物が適切な対象ではないだろうかと考えるに至った。本研究では、コケ植物の野外観察や計測をもとにした、分野横断的な科学研究プログラムを開発することが目的である。コケ植物を対象とすることで、扱う分野が生物学から物理学、化学、環境学へと自然に広がるだけでなく、これらの分野を関連付けて学習できる。さらに、レポート作成において多分野にわたる知識の総合的な考察を実践することで、学習者は分野横断的な研究について実例を挙げて説明ができるようになる。以上から、期待された教育プログラムが提供され、コケ植物が分野横断的な教育プログラムに適切な対象であることが実証される。」

 この教育プログラムの中で実施しようと考えている研究テーマの1つが、「コケ植物の1つの群落において日向と日陰では色が異なるのはなぜか?」という問いを立て、その理由を解明しようというものです。これは、本研究においてフィールドとするコケの生育場所で、そのように色の違うコケの群落を偶然見つけたときに(図1)、ひらめきました。プログラム受講者はその問いに対する答えとして、例えば、「コケ植物は日射量に応じて色素の濃度を変えている」という仮説を設定し、生物学、物理学、化学的アプローチで研究を進めていくことになります。コケは生物ですから、まずは生物的に調べますが、日射量やコケによる光の吸収は物理的に計測しますし、コケの色素や成分は化学的に分析することになり、プログラムを進めていく中で、関連する分野が自然と複数にわたるようになります。その結果、それらの分野が合理的に結びついていることによって研究の遂行が可能となり、複数分野の知識の総合を実践的に学ぶ機会を提供するといった、相乗効果がもたらされることになります。

 本研究のスケジュールにつきましては、1年目(2023年度)に、コケの生育場所を再調査し、必要な計測機器を揃え、私自身が予備実験を行なって、教育プログラムを作成します。2年目には、埼玉大学の学生にモニターとしてその教育プログラムを実践してもらい、結果を踏まえて、教育プログラムの改訂を行います。3年目には、12名の高校生を対象に、教育プログラムを実施、その結果を学会や学術雑誌に発表する予定です。

 

 1.日向(右側)と日陰(左側)で色の異なるコケの群落.20227月,川崎市岡本太郎美術館の屋上にて中島が撮影.